2012年8月31日金曜日

古い家〈音羽〉

木陰にたたずむ古い家。

信号待ちの折にふと見つけると、小説を読むように想像が広がる。

たとえば音羽の護国寺のそば。

残念、全体にやや風情にとぼしいが、裏の大樹が良い。

池波正太郎の仇討ちものに現れる街道沿いの小さな料理やの「小柳の上がりマチには目つきの鋭い男がひとり、昼日中さっきからずっとうつむき加減で呑んでいる、、、」などと頭に浮かぶ。

町をドライブしながら仮寓のお話を読む。
古い家は楽しい。

2012年8月25日土曜日

skultuna♡ステキ

もともとアクセサリーはシルバーが大好きなんだけど、置きもの飾りものはブラスがスキ。とりわけ今年のアクセサリーエレメントはメタル、なかでも真鍮のキラーゴールドが大注目である。

ブランドではスクルテュナがステキです。 

スクルテュナは1607年創業のスウェーデンのブラス(真鍮)製品ブランド。昔ながらの燭台やクリスマスオーナメントなんかも作っているけれど、wallpaper*やUK版ELLE DECORATIONで大きく紹介されていた最新シリーズがクール。これが日本でも手に入るようになりそうだ。

skultuna products

新鋭デザインユニットFolkformのキャンドルスタンド「Collage」。


居並ぶデザイナーはリチャード・ハッテン、クラーソン・コイヴィスト・ルーネ、いま旬のルカ・ニケットなんかもデザインに参加してる。



CKRデザインのティーライトスタンド「Kin」。5つのフォルム、黒、白、赤あり。

たとえばふだんは棚などに飾っておいて、ゲストの折りにはテーブルセッティングのアクセントにする。このホルダーのように小さくて上質なものを各自のプレートそばに添えると食器が普通でもぐっと引き締まる。スタイリングはポイント次第だからね。

キャンドルではなくて野花やアミューズをのせても良い。卓上全体がまとまってくるよ。


問/Kotte&Co.


2012年8月23日木曜日

はさみ

花ばさみ、栓抜き、釘抜き。オール50〜60年前からあるもの。
杉板の名札は抹茶茶碗などのお箱に使うもので最近購入。
磨くのが趣味。錆好き。手入れ好き。

だからつい、いつまでも使う。

その結果。。

一生もの、とおぼしきハサミがいつの間にかキッチンに2本、デスクに3本、七つ道具の中に2本、さらにサブ的な裁縫用やファブリック用まで含めるとはさみだけで一体いくつあるんだ??

さすがに少しずつ、「これは」モノを絞り込みたいのだが、酒屋でもらったような栓抜き(生まれる前からある)も錆び具合がよかったりで減らせない。

その上、座右の銘は「反省はしても後悔はしない」。後悔が怖いのでおいそれとは処分できぬ。
最終的には「これは」から、さらに「これだけ」に絞ることに取り組みたいと思ってはいるけど。

実にむずかしく何年もかかっていっこうに減らない。


可能な限り上質なものを高価でも買えば、思いきって中途半端なものを減らせるともいえる。そう、結局、減らすにはお金がかかる。。

ぐるぐる。。。。


ドイツのはさみ+ノルウェー、トロムソで買ったサーメ人の飾り。

2012年8月22日水曜日

エドラ

キングキドラやモスラみたいな名前のこのブランドは、イタリアの高級家具の会社名だ。
エドラといえば、そのアヴァンギャルドな作風のコレクションは他の追随を許さないインパクト。

とくにブラジルのカンパーナ兄弟(Fernando and Humberto Campana)の作品の数々は圧巻!
こんなのや、

キャビネット「CABANA」2010年作品(かき分けるとドロワーが現れる)


こんなのや、

チェア「SUSHI」2002年作品(パリ装飾芸術美術館収蔵品)
こんなのや、

ランプ「CAMPANA」2010年作品 (サローネで見た実物の金色は巨大だった)

 こんなのが。

もっとも有名なチェア「FAVELA」2000年作品。Vitra.の1/6モデルにもなっている


デザイン好きの間では有名な、日本人デザイナー梅田正徳のあれも。

「GETSUEN DIAMOND」1990作品の2007年ニューバージョン


これらは豪華絢爛なパヴィリオンや城、または逆にこれ以上ないクールな空間に置くことを想定しているように思う。すれすれのフチを面白がって歩いて行くクモ人間みたいに。アートとフェイク、機能とオブジェ、下品と上品、overwhelmと許容範囲内、やりすぎと楽しさ、ぎりぎり本物に含まれているのがエドラの家具だ。


それにしても。
単に奇をてらっただけのまがいものと、アートともいえる価値ある家具の違いはいったいどこにあるのだろう?本物ってなんだ?

おいそれと答えの出る課題ではない。とはいえ、まことにあいまいながら私の基準は「愛嬌のあるなし」。
たとえば陶磁器などで動物がついている名品を見ると、まず絶対に目がかわいい。雑に作られたものは必ず愛嬌のないつまらなそうな顔をしている。

それから佇まいの静かな力、ね。正々堂々としている様とでもいうか。

エドラの家具たちはどれもあまりにも変だけど、どこか愛らしい。さらに堂々としてどんな部屋にも負けない。これが本物だと思う理由。


ところで、日本のものでも骨董品でもデザイン作品でもプロダクトでも、ホンモノはどこにでもある。コンビニにだって本物のデザインを見つけることができる。たとえばロングライフのキッコーマンの醤油瓶とかね。

お墨付きの高価な骨董品がかならずしもよくないし、逆に安くていいわけでもない。大量生産が全部フェイクという訳でもない。

金額とは別の地点に価値があるといっても一概には言えず。むずかしいね。
むずかしいから面白い。

EDRA

EDRA Salone del Mobile 2012

2012年8月19日日曜日

小さな飾り物

愛着のある持ち物は旅先で買ったものが多い。

そのモノと会った時、この場を去ったら二度と手に入らないかも、とそれなりにぎりぎりの思いで買うかやめるか決意して持ち帰ったモノだし、たいがい小さなものだけど、自分にとっては唯一無二だから。欲深いのですね。きっと。

蚤の市などで買ったものはスタイリングにもよく使う。たいていのものは磨くと生き返って存在感を発揮、脇役としてとても良いアクセントになってスタイルを作ってくれる。

自分の思い入れでそう見えるだけかなあ。

左/馬子、奥/ライオン(テルアビブ)、小瓶(ロンドン)、中央/バカラバーのアメニティ、手前/銅の容器(テルアビブ)、

2012年8月7日火曜日

忘れな盆

「忘れな盆」という忘れられたような言葉がある。

着物の時代は袂に身の回りの小物を入れたせいだろうか。時計などを休ませておく小盆をこう呼んだようだ。

帰宅したら時計、アクセサリー、鍵やポケットのものをひとまとめに置くのがいいのは現代でも同じ。郵便物や小物はバラバラとテーブルに置くと、ことさら散らかって見えるし、ピアスなどなくさないためにもオブジェクトホルダーは必須。

私は子供のころの古い楽焼きの皿を使ったり、北欧のウッドのボウルを玄関脇に置いてまとめている。

とっておきを入手するなら、ジョージ・ジェンセンのホームコレクションがいい。2011年のサローネ時に10コルソコモのギャラリーで新作展が行われていたコレクションだ。

2012春発表のイルス・クロフォードのシリーズ『ILSE』は、まさに「忘れな盆」のシリーズ。美しすぎる収納容器だ。

GEORG JENSEN
リビング
銅、真鍮、ステンレスのボックス(蓋付き)、キャンドルスタンド、花瓶、すべて『ILSE』シリーズ。

トレンドのコッパーや真鍮などのメタル、女性デザイナーの繊細でクールなフォルム、こういうシャープさが乙女心をくすぐるんだって、きっと男性は知らないだろうな。